昔、阿佐ヶ谷に「
和田」という、元力士の方(小結・若獅子)が大将を勤めていた手打ちうどんの名店がありました。
私個人は2004年に一度お邪魔出来ただけでしたが、素敵なお店だったのを覚えています。
そんな和田は数年前に惜しまれつつ閉店しましたが、今年の4月になって突如、荻窪に「和田」の流れを汲むお店が出来た!という話題が、うどん好きな方々の一部で駆け巡りました。
こりゃ行かねば、とお邪魔して来ました。
店名は
「恵」。お店は、荻窪北口の商店街を進んだ先にあります。
外観は木の外装に黄色をベースにした暖簾というちょっとポップな、でも私がお邪魔した時はドアが開けっ放しで親しみやすい印象でした。
元々は小料理店か何かのお店だったのでしょうか。ごくごく小さい店内はカウンター席がいくつかと小さいテーブルが一つあるのみ。カウンターの向こう、手の届きそうな距離で女将さんが一人で作業をされていました。
お昼入店で先客3人。和田をご存知のお客さんのようで、昔話に花を咲かせていました。
メニューは、たぬきうどん700円から。
きつねうどん750円、合わせ、きざみが800円、肉が850円、かき揚げが900円、肉きざみが950円。そして天ぷらうどんが1,200円と続きます。
ざっと見ただけでしたが冷やしもあり、お値段は各メニューに50円足した金額のようでした。
(大きいメニューは
こちら)
とかぼんやり眺めていたら、うお、サイドメニューに五目いなりがありますよ。小150円大200円。
和田の大将の修行先「四国屋」直伝の五目いなり、私、大好きだったのです。
そんな訳で、うどんそっちのけで五目いなりを注文。
今は小しかないんですよーごめんなさいねーとおっしゃりながら女将さんが作って下さったそれは、小でも大きい(笑)。
やや甘めの優しい味。懐かしさと美味しさにジンワリと癒されてしまいます。
しばらくして注文した肉きざみが来ました。
丼はやや小ぶりに見えますが、思った以上に深さがあって量もたっぷり入っております。
うどんはどうも、生うどんを冷凍して1パックずつ包装されているものを茹でているようでした。(後でお聞きしたら、息子さんがうどんを打たれているそうです)
やや太めでねじくれまくり。見た感じ、水で締めていなかった気がします。
どちらかといえばもそっとした食感で、ちょっと茹で残りも見当たりました。この辺りはまだ釜の加減など調整中なのかなという気がしました。
ダシは透明感があります。黒い器に盛られると、ダシが本当に無色透明かのように見えます。
啜ると旨みの強い味わい。これは私の失敗だったのですが、先に五目いなりを食べたためか、ダシの風味などはあまりわかりませんでした。それは、肉の脂が強めの印象だったこともあるかもしれません。
帰りに少しお話をお聞きしたところ、和田を閉店された後、大将は完全に引退されましたが、息子さんが名古屋などに色々行かれて試行錯誤されてきたとのことでした。今は女将さんと息子さんで切り盛りされているとのこと。
名店の名前だけで安心せず、まだまだ発展途上の兆しがぷんぷんと感じられる今回の再出発でした。またお邪魔してみたいですね。