九州長崎から西に離れた場所に浮かぶ五島列島。美しい海に囲まれたこの島々には、幻のうどんと呼ばれる手延べ麺「五島うどん」があります。
そんな五島うどんに魅せられた備前氏が、五島の「ますだ製麺所」会長、舛田安男氏の元で5年の修行を積み、東京でその味を知ってもらおうと武蔵小金井にオープンしたのが、今回お邪魔する
「びぜん家」です。
お店はJR武蔵小金井駅の南口を出て徒歩で4分ほど。イトーヨーカドーから南に延びる道を進むとひっそり建っているのを確認出来ます。
店内は小さく奥に長く、その両脇にはカウンター席がずらっと並んでいます。丁寧で感じの良い男性女性の店員さんが3人ほどで店内切り盛りしていました。
時間を外して平日の14時頃にお邪魔したので、先客は2人ほどでした。
メニューはかけうどん480円から。ざる、きつね、わかめなどの定番に加えて、九州では良く見られるごぼう天や玉とろ、天ぷらなどのメニューが揃います。
冷たいぶっかけしそおろしなどを除いて、主に天ぷら系は温かいかけタイプのと冷たいぶっかけの二種類用意されています。
五島うどんといえば鍋でぐつぐつ煮込む「地獄炊き」が有名ですが、こちらではやられていない様です。まぁ、場所を取りそうなのでカウンターでは厳しいかもですし、この猛暑で地獄炊きがありましても厳しいのですけれども^^;
今回は玉とろうどん680円を注文しました。茹で置きなのか茹であがりが早いのか一瞬で出て来てビックリです。
うどんは細くて丸い独特の手延べ麺。いただくと腰は無く、独特のふにゃんふにゃんした食感。
何と言いますか、釜抜き(釜揚げした後、水で締めない)の状態で出している印象を受けました。味や風味などは特に印象がなく、素直にダシを吸って、それが口の中で染み出す感じ。
ダシは魚系のシャープな旨味が感じられる、他ではあまり味わったことのない独特な風味。
多分アゴ(トビウオ)だと思うのですが、尖った所もなくこのうどんにも良く合い、非常にバランス良い美味しさを醸し出していました。卵ととろろもダシとうどんに良く絡み美味しかったです。
内装や盛り付けはシンプルな様式を取っているのですが、大将の接客具合や、一見目立たないけれども丼から滲み出る深く豊かな個性に、お店の静かな気合いや拘りが垣間見えた様な気がしました。
池袋「翠風」や巣鴨「ここ長崎」などがあるものの、まだまだ都内には少ない五島うどんのお店。気軽に食べられる場所がこれからもどんどん増えてくれると嬉しいなぁと思います。