うどん好きにとって、東村山市は武蔵野うどんの名店が数多くある事で知られています。
香川県の讃岐うどんと同じく地域に密着していて、昼のみの営業、日曜日定休という営業形態を取っている店が多く、訪問出来る時間帯が限られるためになかなか行けなかったのですが、この度ようやく東村山の地を踏む事が出来ました。
「きくや」は、この東村山の中でも一、二を争う有名店です。東村山に2店舗、所沢に1店舗を展開しています。
今回訪問したのはその中でも最も東村山駅に近い諏訪町店。カウンターが8~9席程、テーブルが3~4席ほどの、それ程大きくないお店です。昼時ど真ん中という事もあり、訪問時の店内は大混雑していました。
このお店は注文の仕方が少し変わっていて、うどん茶碗一杯を1玉として、玉数でうどんを注文します。
少し讃岐に似ていますが、ここでは更に呼び方にローカルルールがあって、3玉を
「L」、そこから順に
「LL」「3L(スリー)」「4L(フォー)」「5L(ファイブ)」と呼びます。ここから更に、ダシを
「冷汁」「肉汁」から、付け合せに
「天付」「ミックス(海苔入り)」を選ぶのです。何も考えずに入ったら混乱してしまうかもしれませんね。
…え、ワタシですか?ワタシはミーハーですからあらかじめ予習しておきました。えるにくじるてんつき~えるにくじるてんつき~と
発声練習もバッチリです。
そんな訳で、忙しそうに動き回っているおばちゃんにL!肉汁!天付!と
絶妙の音程で注文。目の前の店員が釜からどんどんうどんを茹で上げ水で締めて、茶碗に一杯ずつ入れて大皿にくるくる回して行きます。その手際に見とれている内にうどんが上がって来ました。
ちょっとクリーム色がかったうどんは
地粉だぞーと主張しているかの様。しかし噛むと地粉の香りは少なく、そして意外にも柔らかくズルズル入りました。細めでちょっと「一乃屋」のうどんに似た食感です。
肉汁はお肉がちょっと少なくて寂しめですが、その替わりとばかりに鰹がガンガンに効いています。濃いのですが辛くはありません。かき揚げはしっとりしていて美味でした。
今までに見て来た武蔵野うどんの形を取りつつも、今までの武蔵野うどんの印象とはちょっと違ううどんでした。武蔵野うどんも奥が深いですね。