東京で山長といえば、コンビニでも一時期売り出されていた黒うどんのお店が有名ですが、今回ご紹介します恵比寿の
「山長」はそれとは別のお店。
寛政元年に創業した昆布や削節の製造販売を手がける、
兵庫県の山長商店さんがによるうどん屋さんです。
このうどん屋さんの評判が良かったので、腹ペコ腹ペコと家から遠出してみました。JR恵比寿駅から徒歩3分ほど。大通りを入った所にある小さな公園の脇に、上品にひっそりと佇んでいます。
綺麗な日本料理のお店の様な佇まい。中も白と淡い木目の色を基調としたテーブルの配置が、シンプルで清楚な印象を与えます。中央に一人用の大きい机が一つ。奥にテーブル席がいくつか。30人ほどは入れそうです。
私は11時半の開店直後に入りましたが、この地域では有名なお店みたいで、すぐに3組ほどお客さんが入って来ました。
メニューは「冷たいうどん(つけ)」「冷たいうどん(かけ)」「温かいうどん(かけ)」「あんかけうどん」の4系統に分かれています。
一番安いのはざるうどんとかけうどんの650円。冷たいかけうどんはすだちおろしうどん830円。あんかけうどんは湯葉あんかけうどん850円から。
九条葱やきつね、梅わかめ、かき揚げ、鴨南蛮、牛肉など、メニューを並べてみるとそこはかとなく関西の香りがします。大盛りは100円増し。ランチタイムは炊き込みご飯が無料で付いて来ます(申告制)。
今回は温かいうどん(かけ)の中から、九条葱うどんを注文してみました。ゆったりと10分ほど待って出て来たうどんには、メニュー名通りに葱がたっぷり!青々として美味しそうです。ちなみに机の上には天かす、胡麻があり、それぞれ入れ放題です。
ダシ素材の製造販売会社が母体という事で、まずはダシを観察。薄口醤油の様な、やや濃いめの色でやや濁りがあります。すすってみると、おお素晴らしい!鰹節の香りがぶんわりと!旨味もたっぷりです。
節入れてますから!メチャ使ってますから!と、丼を通して調理場を突き抜けて山長商店から叫びが聞こえて来そうです。
傾向的には西日暮里の「
あかう」を思い出しました。味付けはやや塩味を強く感じます。これは飲み干さないと勿体無いなーと思わせてくれる個性的なダシ。美味しいです。
対してうどんはといいますと…細めで、一瞬丸っぽく見えますが、良く覗くとシャッキリ角を確認出来る、白くて四角い麺線の綺麗なもの。間違いなく機械打ちです。和歌山県のうどんですとか。
食べるとモソッと入ってシコッと切れます。やや塩味を感じます。こちらもこだわりを感じるのですが、うどんとしては一本調子でやや個性に欠ける様な…。ダシに比べると、ちょっと寂しく思えました。
九条葱はダシに溶け込みつつも良いアクセントに。炊き込みご飯とおしんこは薄味でどれも美味しかったです。
うどんこそやや寂しく思えたものの、ダシは流石!と思える出来栄えで、期待していた以上のお味でした。
ここは深夜まで営業している事もあって、夜に飲みに来るお客さんも多いらしく、酒の肴の類も充実しています。軽く一杯引っ掛けて〆にここのダシでうどん…。一人想像してムフフとニヤケつつ、お店を後にしたのでした。