今日は新木場に用事があったので、その帰り道に近郊のうどん屋さんに足を運ぶ事にしました。辰巳から有楽町線に乗ってすぐの有楽町駅に、稲庭うどんの
「寛文五年堂」がある様なので、今回はここに決定です。
…結構ぐちゃぐちゃに入り組んでいて、着くまでかなり迷いました。有楽町→丸の内線銀座駅まで地下を移動して、そこから銀座の入り組んだ町並みを抜けて行き、10分程迷った先にお店がありました。
稲庭うどんは、小麦粉を塩と水で練り、延ばして切り、小巻、熟成、綯いの後、延ばして乾燥させて製造される乾麺。主に献上品で製造法は一子相伝とされており、最近までは一般の人は口に出来なかったそうです。創立者の分家、佐藤養助が製造法を一般にも公開してから、広く食べられる様になりました。
「寛文五年堂」はそんな稲庭うどんの老舗。本場の秋田で製麺業を営む会社が開いた、いわば直営店です。寛文5年頃に考案された、稲庭うどんの歴史にちなんでこの店名になった様です。
週末で静かな町並みの中に、静かにお店が建っています。そんなお店は店内もとても上品な雰囲気。テーブル席ごとに腰位の高さの敷居で空間が区切られています。12時半の入店で全70席の6割程埋まっていました。人通りの少ない所でこの客入りにちょっと驚きます。やはり人気店なのでしょう。
メニューはかけ、ざるなどの定番から一番人気のなめこおろしうどんなど多彩なメニュー。一品料理も多彩で、鴨やフォアグラなんてものも置いてあります。
このお店ではこのお店だけの特徴として、本来乾麺である
「稲庭うどんの生麺」を食べる事が出来ます。ここに来たならば、まずはそれを食べてみたくなるのが人情というものでしょう。
そんな訳で、今回は二種三昧うどんを注文。乾麺と生麺の両方を食べる事が出来るメニューです。細いのが特徴の稲庭うどんだけに茹でるのも早いのか、5分程で出て来ました。付け合せの煮物は野菜がとても甘くて美味しい。デザートに付いて来た葛きりも上品で美味しい。つけダシは胡麻の香りが良い胡麻ダシ、ほのかな酸味が嬉しい梅ダシ、鰹の効いた醤油ダシの三種類。どれも上品で飲める美味しさです。
乾麺は、店員のおばちゃんが
「ペラペラ」と表現していた通りのものでした。3、4ミリほどの幅で、1ミリ程の太さの細いきしめんの様なうどん。食感も形状の通りのペラペラというもので、ぶちんぶちーんという「
佐藤養助」のコシとはまた違ううどんです。
ここのうどんは通常の稲庭うどんとは違い、延ばしの際に潰してペラペラにする、という行程が追加されているそうなので、この食感はそのためでしょう。
対して生麺は、それとは全く違ったコシを持つ、別物のうどんでした。3ミリ角ほどの太さで、食べればクックッと弾力が返って来ます。おー、これは太さを除けば讃岐に近いうどんですね。ピシっと麺線の揃った優等生な稲庭のイメージとは違う、意外に太さにムラのあるうどん。あまりの乾麺との違いに嬉しくなってしまいました。
稲庭うどんの歴史を体現出来る、歴史のある上品なうどん屋さんです。客層も店員さんも、そこはかとなく上品な雰囲気で落ち着けます。そしてもちろん、都内で屈指の稲庭うどんが食べられるお店なのは間違いありません。